「親の会の出会いの中で」
NPO法人チューリップ元気の会 理事長 溝井 啓子
 チューリップ元気の会は埼玉県川越市を中心として地域に密着して活動している発達障害や学習困難のある子どもたちの親の会です。会の名称は「どの花見てもきれいだな」の歌詞を想い起こさせる「子どもたちひとりひとりの個性を大切にして健やかな成長を支援したい」という思いがこめられています。会として活動を始めて5年になりますが、これまで自分たちで無我夢中で開墾し、耕し、種を蒔いてきた畑にようやく芽が出てきて育ち始めたのかなという感じがしてきてます。この4月からは、LD(学習障害)、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症・アスペルガー症候群、軽度知的障害等の発達障害のある人たちへの支援を事業として取り組むべくNPO法人として新たなステージへ歩みだすことになりました。

 最初は、公民館のサークル活動として「学習困難の子を持つ親の会」という集会を毎月1回開催しましたが、自然と子育ての悩みを持つ母親同士の相談会としてピアカウンセリングの場となりました。当時、参加された方たちの悩みを聞いている中で、通常の学級における学習面や学校生活で困難を持つ子どもたちへの教育的支援についてなんとかしたいと周囲を見渡しても何も見えない状態でした。

 転機が訪れたのは今から約3年半前のことでした。徹之さんという自閉症の青年のお母さん「明石洋子」さんとの出会いでした。当時、私は、2人の発達障害のある子供を抱えてこれからをどう生きてよいのかわからず、わが子を少しでも健常な子供たちと同じように育てたいと思いながら、藁をもすがる思いでドクターショッピングをして医者から医者へと渡り歩き、毎日が不安と不満の塊のような生活でした。そんな時、明石洋子さんが自閉症の息子さんと楽しそうに生活をしている姿に出会い、まるで稲妻にでも打たれたようなショックを受けました。そのとき、障害=不幸という方程式を勝手に作ってしまい、子供を変えよう、障害を治そうともがき苦しんでいた自分に気がつきました。そして息子さんと活き活きと楽しそうに笑って生きている明石さん家族の姿をみて「私も幸せになれるんだ」という確信をいただき、このときから私の人生は180度転換したのです。

 そして、2002年4月から毎週土曜日に学校が休みになっても遊ぶ友達がいない子どもたちを外に出そうと子供たちの居場所づくりのためのサークル活動「土曜クラブ」を始めました。初めはプールや公園遊びを中心に行っていましたが、会員が増えるにつれてだんだんと活動のレパートリーも増えて行き、お花見、スケート、バーベキュー、ボウリング、工場見学など今では、子どもたちの年間活動日は20日を超えるようにもなりました。夏には親睦を深める為に1泊でお泊り会も行なっています。最初は子供たちもお互いにぎこちなく、ともすると子ども同士のトラブルも発生するという心配もありました。しかし、回を重ねるにつれ、規則やルールに縛られずのびのびと過ごせる「土曜クラブ」は魅力ある場所になり、子ども同士の仲間意識も育ってゆきました。当初、活動の中心だった小学生の子供たちの多くは中学生になり、今では自分たちで活動内容を企画し、担当を決めて打ち合わせを行い、自主的な活動ができるようになってきました。また、2004年からは就学前の子供たちを持つ方の参加も増えて、土曜クラブとは別に「キッズクラブ」という親子活動も自主的に始まり、子供の年齢に応じたグループ別が始まりました。

 なお、土曜クラブをはじめて間もなく「おやじの会」が発足して父親の参加も活発になり、活動に奥行きが出てきたことも大きな収穫でした。また、発達障害という子供たちの困難を理解し支援の輪を拡げようとはじめた講演会も恒例となり、ユニークでタイムリーな講演会として参加された皆様から好評をいただいております。

 これからは、「特別支援教育」、「発達障害者支援法」などの具体的な支援施策について、周辺地域や関係団体と一緒に考え、連携しながら進めていくべきことがたくさんあると思いますが、常に子供と親が共に成長することが出来る会にしてゆきたいと考えています。

                        2005年3月

この文章は、発達障害児教育雑誌「LD&ADHD」明治図書 掲載のために会の紹介文としてまとめたものです。