● わが子の紹介

まず、わが子の紹介をさせて頂きます。長男はLD、ADHDでアスペルガーも少し混ざっています。つまり知的な遅れはないが、認知、行動、社会性、それぞれ少しずつ困難を持っています。次男は多動と知的な遅れを伴う自閉症です。
最初に障害があると気がついたのは次男でした。1歳半検診で言葉の遅れを指摘され、2歳の時に自閉症と診断を受けました。私と主人は、もう頭の中が真っ白で、ことの重大さに気がつき涙が出たのは2・3日後のことでした。次男の障害がわかったのがきっかけで、私たち夫婦はドクターショッパーと言われるほど多くのお医者様に診て頂くことになります。
そんなある日、問診の中に兄弟に対する質問があり、答え終わったとき先生の口から出た言葉が、お兄ちゃんも発達障害の可能性がある、ということでした。長男はマイペースのところはあったものの、まさか・・・という思いでLDやADHDの本を必死で読みあさりました。読めば読むほど疑いが確信になり、検査を受けることになりました。WISC−VとK−ABCというテストを受けましたが、LDとADHDを併せ持つということがわかりました。
2人の子供の障害を私が受け入れるのに2年かかりました。私自身もカウンセリングを受け、時には安定剤などもお医者様に頂いて何とか毎日を過ごした、という状態でした。

● チューリップ元気の会が出来たわけ

そんな時、私に希望を下さったのは同じ障害を持つ子を育て上げた先輩お母さんでした。その方の笑顔が私に教えてくれたことは、障害のある子がいてもあんなに幸せになれるんだ、という確信でした。くよくよ悩んでいた私の背中を押してもらい「チューリップ元気の会」をスタートしたのは、出会ってから半年後のこと。「必要なものは、自分で作るのよ」の一言で今日まで歩んできました。
親の会で多くの同じ悩みを持つ方々と出会うことが出来、皆様のお陰で私も勉強させて頂きました。公民館職員の方の協力を得て公民館事業として始まった会でしたが、2年目には参加メンバーも増え独立。また活動も月1回から月6回になり現在は年齢別にクラスを分けて活動しています。

● 親の会を通じて感じたこと

初めて会に参加されるお母さんの話を伺っていると、何年か前の自分の姿が見えてきます。この会には共感してくれる仲間がいます。多くのおかあさんが自分の子供の困難を語りながら涙します。あまりにも言うことを聞いてくれない子供を叩いてしまったり、強い言葉でヒステリックに怒鳴ってしまったり、というような事をカミングアウトする場面もありますが、ここにいる皆は「今まで1人で頑張ったんだね、もう今日から子供を叩かなくていいんだよ、いっしょに子育てを学んでいこう。」とメッセージを送ります。母親が安定し自信を取り戻すと家の中にゆとりが出てきますから、障害は無くならないけれども幸せになります。

● 周囲の人がわかってくれない

一番目に出てくるのが、お父さんがわかってくれない、関心が無い。二番目に出てくるのが、学校の先生がわかってくれない、毎日叱られて連絡帳は苦情ばかりというものです。
父親は帰宅時間が遅く子供と関わる時間が短いし、週末家に居たとしても家ではほとんど問題が無いことが多いので父親には母親の訴えがピンと来ません。ゲームやマンガなど好きなことをしてマイペースに生活している分には何も困ったことはおきないのです。
しかし学校のような集団の場面では、しばしばつまずきがあるので月曜日から金曜日は「こんなことがあった、あんなことをしてしまった」などの報告が学校から毎日のように来ます。しかしそのことを父親に理解してもらおうと訴えれば訴えるほど、お父さんはかたくなになって夫婦喧嘩になってしまうこともあるようです。我が家では参観日に学校に行ってもらったり、カブスカウトに父親に参加してもらうことで子供の困難を理解してもらいました。同年齢の子供の中で自分の子供を客観的に見ることが必要だと思います。
学校の先生の理解ですが、LDやADHDという言葉は知っていても実際目の前にいる生徒と結び付かないといったことがあるのではないかと思います。長男のことを先生に話したとき「こういう子は今までに何人か受け持ったことがあります」と言われたことがありますが、発達障害と結び付けて考えたことが無かったということでしょう。
先生には本やビデオなど具体的な支援の方法がわかるものをお渡しして理解をして頂くよう努力しました。
次に大事なのは、クラスのお友達や保護者の方々の理解と支援です。集団の中で「足並みそろえて」が苦手なのでどうしても目立ってしまいがちです。いじめやからかいの対象になってしまうこともよくあることです。また苦手な課題だと、はじめからあきらめてしまったり、時にはパニックを起こしてしまったりすることもあります。長男の場合、四年生の時、非常勤で学校に入ってくださった心理の先生にパニックや問題行動を起こす前に周囲の人にSOSを言葉で伝える練習をしてもらい、今は問題行動がほとんど無くなりました。

次男は言語に困難を持っているので「○○くん通信」というお便りをクラスの保護者の方々に読んで頂いています。障害のこと、今の学校での様子、お友達とのエピソード、などなどクラスのお友達がお家で「今日○○がねー・・・」などとお話していそうな内容を、なぜそうなのか・・・。ということを説明させてもらっています。たとえば、お友達の背中をたたいて逃げる、という行動を繰り返している時期がありましたが、遊んで欲しいということが言葉で伝えられないのでそんな時は「遊びたいの?」と聞いてやってください。などと書かせてもらっていました。おかげさまでお友達の保護者の皆様にも温かく見守っていただき楽しい学校生活を送っております。

子どもの困り感に気づくということ

多くのお母さん方と話していて思うことですが、ほとんどの場合話の内容はお母さんが困っていることです。一言で障害といってもさまざまです。車椅子の方や盲や聾の方は親にも周囲の人にもサポートをもらえるのに、このような発達障害の子供は叱られてばかりでなかなかサポートしてもらえません。なぜでしょう?それは本人の困り感が見えないからなのではないでしょうか。親もわからないから「何でこんなことが出来ないの!」とつい叱ってしまうのでしょう。
先生も同じだと思います。毎日出てくる問題行動に気をとられていませんか?問題行動は子供のSOSです。チャンスと捉えて子供の困り感に寄り添ってあげてください。


● 就学前の悩み

就学前に発達の遅れに気がついている場合、まず考えるのが学校に入ってやっていけるのか?いじめにあったり、仲間はずれにされないか?という心配です。
年長の二学期になると就学時検診が学区の小学校で行われますが、軽度発達障害の子のほとんどはこの時、異常なしという結果でパスしています
「心配なので校長先生に事前に伝えた方が良いのでしょうか?」と相談を受けますが四月の時点で校長先生が移動されることもあるので入学してから今後のことを担任の先生と校長先生を交えてお話をした方が良いのではないかと、今までの経験からお答えしています。
もし就学時検診で「就学相談を受けてください」と言われたら、そこでもう一度詳しい検査を行いますが、結果はどうあれ通常学級に入るか、特別支援教室(特殊学級)に入るかの最終的な決定は保護者がするのですから、自分の子供に合った環境を選んであげたらよいのではないかと思います。
教育をコーディネイトするような気持ちで考えればわかりやすいと思います。例えば、お友達作りをするのを目的に通常学級に入り、お勉強は家庭で本人にあったものを学習する。または、少人数の特別支援教室でお勉強をして放課後、公園や習い事などでお友達作りをしよう、などその家庭の事情に合わせてコーディネイトすればよいと思います。とは言うものの、ご多分に漏れず我が家もこの事については大変悩みました。
ノーマライゼーションやインクルージョンの問題もあったり、前県知事の二重学籍発言や地域や学校によっても状況が違ったりと、このことについてはこれからも考えていく必要がありそうです。

就学後の問題

LDの子供の場合、読み、書き、計算するなど勉強が始まってからではないと困難に気がつきにくいと言うことがあります。子供のつまずきに気がついた時点で専門家に相談し、学校とも話し合い今後の方向性を考えていく必要があります。
進級や中学へ進学する際、次の担任の先生との引継ぎを上手に行う事が重要で、一年間せっかく努力したことが、リセットされないように、学期ごとの目当てなど、具体的な目標を作ると良いのではないかと思います。結果は書類で残しておきまた来年の先生に引き継ぎます。以前言語の弱いお子さんが知的に遅れていると担任の先生に勘違いをされて必要の無いハンデをつけられていたことがありました。得意なこと、苦手なことをちゃんと先生に理解してもらうような努力が必要です。


● 終わりに 親の立場でと言う事で、今回書かせていただき、あらためて考えることがあり、大変良い機会になりました。これからも皆様のご指導とご理解をお願いするとともに、多くの出会いと、このような文章を書かせていただく機会を与えてくださいました、望月先生と事務局の皆様にこころよりお礼を申し上げます。ありがとうございました。


子育てに悩む親へのガイドブック「コ・ラ・ボ」(2004年2月29日発行)寄稿文より

わが子が発達障害と言われたとき
チューリップ元気の会 代表 溝井 啓子